間取りとは
家づくりの楽しみのひとつに間取りを考えることがあります。
リビングは○帖、子ども室は○帖くらいで2部屋くらい。寝室には書斎やウォークインクローゼットを設けたいし、家事がしやすいように動線にもこだわりたいとかいろいろとすまいへの想いを形にしようと試行錯誤する方も多いと思います。
ただ、いろいろな間取りを見ていて「この部屋は本当に必要なのかな?」と思うことがたまにあります。
実際、すまいの間取りを考えるときには今の家族構成で必要な部屋数や役割を考えることが多いです。
では、10年後、20年後、その先の暮らしに今の間取りが対応できるでしょうか。
数年後の暮らしに対応できるかどうか
田舎に建つ私の実家は、今では部屋が余っています。姉弟が個々で過ごした2階の部屋は空き部屋となり、そのうちの一つは物置と化しています。また、昔は2階で寝ていた両親も今では階段を上るのが辛いと1階の座敷にベッドを置き、そこで毎日寝起きしています。
大は小を兼ねるとは言いますが、時間が経つにつれ家族構成もライフスタイルも変化していきます。そんな時に変化に合わせて無駄なく臨機応変に対応できるすまいが使い勝手もよく、永く住めるすまいなのではないかと実家を見ていて感じます。
特に最初に部屋の役割を決めてしまうと、使わなくなったときに余分なスペースとなる可能性が高くなります。
間取りとは間を取ること
以前、「間取りとは間を取ること」だと読んだことがあります。
間を取ることは、部屋の大きさを競う陣取り合戦でも、役割を持たせた場所をつくることでもありません。お互いが気持ちよく暮らすため、「家族の間をつくること」だと考えます。
引き戸を閉めてこもり部屋にしたり、引き戸を開けて空間を広く使ったり、その都度程よい距離感で好きなように過ごせることが家族の間をつくることになるかと思います。特に役割を決めていない部屋はその分自由度は広がり、あとからどのようにでも使える空間になります。
間取りを考えるときには、部屋という役割がある箱を集めて決めるのではなく、家全体という大きな箱の中で、家族に合わせてゆるく仕切ることを考えるほうがよりおおらかで豊かなすまいになるのではないでしょうか。