窓の役割
家のイラストや絵本、子ども達の描く家の絵には必ずと言っていいほど窓がついています。私自身この業界に入るまであまり深く考えたことがありませんが、すまいにおける窓の役割はとても大きなものなのではないかと思います。
さてそんな窓ですが、役割として
- 採光
- 通風・換気
- デザイン性
- 眺望
の4つがあげられます。採光や通風・換気については建築基準法にて基準が定められているということもあり、家には必要なものですし、光がたくさん室内に入る家が心地いいのはみなさんが体感して知っていることかと思います。デザイン性については窓だけの問題ではなく、建物の形や高さ、素材・色味などもかかわってきますのですまいの造形についてはまた今度。
ソトとナカをつなぐ窓
4つ目に挙げた、「眺望」としての窓の役割はよく耳にすることですが、みなさんのすまいの窓から見える景色はどんなものですか?ずっと見ていたくなるようなものでしょうか?
窓はソトとナカをつなぐものです。景色のいい場所に家を建てた人はいい景色を室内から見ながら暮らせますが、そうでない方はどうでしょう。景色がよくないから眺望を諦めて窓やカーテンを開けずに室内にこもっているのでしょうか。実際そんなことはなく多くの方が敷地内にて完結する眺望をつくるかと思います。例えば、リビングやキッチンの窓から見えるように植栽を植えたり、下窓から見える小さな花壇をつくったり。もちろんそれらも暮らしに彩を与えてくれるのでいいことですし、お庭をつくることは暮らしていくうえで大切なことです。
サイトプランや現地調査につながる話ですが、仰々しいお庭をつくらなくてももしかしたら見る範囲を広げてみると敷地の外にいい景色があるかもしれません。敷地の外にいい眺望があるのであれば、その部分だけ窓で切り取って眺望として利用することも可能です。窓の役割を「眺望」としましたが、実際は「景色を切り取る額縁」の役割が強いです。いい景色を探してそこを切り取る額縁をつくる、そのひと工夫がすまいに抜け感をつくり、空間に奥行きと開放感をもたらしてくれます。そしてそのことを知っているだけでも土地の見方が変わります。
※向かいの松の木が借景となり、緑が多いすまいになります。
※一番大切なのは「景色を切り取る額縁」としての窓の役割
心地いいものはソトからやってくる
家は壁と屋根で囲まれる閉塞的な建物だからこそ、光や風を室内に入れる窓が必要になります。その窓がどんな位置にあるかでナカから見えるソトの景色が変わり、開放感の大きさも変わります。時間とお金をかけて一生に一度のすまいを建てるのであれば、いつも窓やカーテンをあけて光や風、薫りなどのソトから届くたくさんの「心地いいもの」を感じられるすまいにしませんか?